第58回(2025年度)MBC賞 受賞者
今年度は9月2日に選考委員会を開催し、3団体へお贈りすることを決定しました。
表彰式は10月10日(金)城山ホテル鹿児島で行います。
団体 「鹿児島信用金庫 吹奏楽部」
地域貢献を90年続け、音楽の力で地域社会に貢献

鹿児島信用金庫吹奏楽部は、地域の文化振興や職員の親睦、士気向上を目的に1935年に創立。以来、「音楽を通して地域社会に貢献する」という理念を実践してきた。
90年に及ぶその歴史は、幾多の困難を乗り越えてきた郷土との深い絆を象徴している。戦時中は慰問演奏で人々を励まし、鹿児島大空襲で全てを失いながらも、戦後復興期にはその音色で県民に勇気を与えた。「おはら祭」には1949年の第1回から連続で参加し続けるなど、鹿児島の歴史と共に歩んできた存在である。
現在も、地域の式典やイベントなど年間約20回の演奏活動を展開。チャリティーコンサートも開催し、その収益は地域の福祉施設へ寄付するなど、社会を支える力にもなっている。また、近年は未来の担い手を育む「かしん『音楽の杜』事業」にも力を注ぐ。
創部時の志を胸に、幾多の時代を乗り越え音楽の喜びを分かち合うという一貫した活動は、地域文化の振興に多大な貢献をなすものであり、今後ますますの発展が期待される。
(1935年設立 理事長 市川 博海 鹿児島市)
団体 「鹿屋市平和学習ガイド・調査員連絡会」
鹿屋の戦争遺産を語り継ぎ、平和を伝える活動

「鹿屋市平和学習ガイド・調査員連絡会」は、鹿屋の戦争の記憶を後世に語り継ぐため、2015年に設立されたボランティア団体である。
活動の柱は、鹿屋・串良・笠之原にあった旧海軍航空基地跡や特攻作戦の司令部跡など、市内の戦争遺跡を巡るガイド活動だ。この10年間で約3万人を案内し、戦争の悲惨さと平和の尊さを伝え続けてきた。さらに、この活動で築いた人脈を活かし、戦争体験者から貴重な証言を記録・収集する地道な調査活動も継続。その成果は鹿屋市と連携し、3冊の戦争体験談集として結実しており、記憶の風化を防ぐ重要な記録となっている。
このほか、学校での出前講座や、2019年からは鹿屋が初空襲された日に合わせ、「あの日を忘れない」と題した行事を主催するなど、多様な形で継承活動を実践している。
戦争を知らない世代が増える中、生きた教材として地域に根ざした平和教育を推進するその献身的な活動は、未来へ平和をつなぐものであり、今後ますますの発展が期待される。
(2015年設立 代表 迫 睦子 鹿屋市)
団体 「公益社団法人鹿児島県助産師会 鹿児島中央助産院」
母子保健向上と地域のお産と未来を支える活動

公益社団法人鹿児島県助産師会は、前身団体から103年にわたり、県内の母子保健を支えてきた鹿児島で最も歴史ある助産師の団体である。近年、産科の集約化により地域でお産ができる場が減少する中、同会が運営する鹿児島中央助産院は、妊娠・出産から子育てまでを支援する極めて重要な拠点となっている。
鹿児島県助産師会は、家庭訪問事業や性教育の出前講座など多岐にわたる活動を展開。その中核である鹿児島中央助産院では、自治体の産後ケア事業を受託し、離島の妊産婦が安心して出産できるよう宿泊型産前産後ケアセンターの運営や、電話相談などを行う。また、学生の実習も積極的に受け入れ、知識と温かい心を未来の助産師へ継承している。
産後の孤立や育児不安が社会課題となる現代、助産院の役割はお産の場から地域の子育て支援の中核へと進化している。一人ひとりの親子に寄り添う同会の活動は未来への大きな希望であり、今後ますますの発展が期待される。
(1922年設立 代表 宇都 弘美・北村 愛 鹿児島市)