第55回(2022年度)MBC賞 受賞者
団体 「NPO法人 やどかりサポート鹿児島」
賃貸住居への入居が困難な生活困窮者等を連帯保証などによって支援
鹿児島で障害や貧困、高齢等の社会生活上の困難を抱えているために、住まいの確保が難しい人たちを支援しようと、2007年に県内の司法書士や社会福祉士、精神保健福祉士らのグループが設立した。
連帯保証人がいないため賃貸住宅に入れない人に対して、地域福祉の担い手と連携し「支援者」を置いたうえで、やどかりサポートが連帯保証人になって住まいを提供。入居後も家賃滞納等のトラブルに対応したり、見守り活動を行うなど、利用者が地域社会で孤立することなく、豊かな人間関係の中で自立した暮らしができるよう支援を行っている。
2022年3月現在、363人の暮らしを支えている「地域ふくし連帯保証」の取り組みは、居住支援のモデルと言え、理事長の芝田氏は一般社団法人居住支援全国ネットワークの理事長も務めるなど、小さなNPOでもできる大きな地域福祉を全国の先頭に立って推進している。
やどかりサポート鹿児島の取り組みは共生社会の実現に大きく貢献しており、今後ますますの発展が期待される。
(2007年設立 理事長 芝田 淳 鹿児島市)
団体 「天孫降臨霧島九面太鼓保存会」
天孫降臨霧島九面太鼓を通じて地域の文化や観光振興に寄与
天孫降臨霧島九面太鼓保存会は、霧島神宮の宝物として保存される九つの面と、伝え継がれる天孫降臨の神話を基に、1972年に誕生。鹿児島県の和太鼓の先駆けとして今年で発足50周年を迎えた。
年間約80回の公演を行うなど精力的に活動を続け、特に、保存会などが中心となって毎年8月に開催する「天孫降臨霧島祭」には、全国の太鼓チームと神楽が集結。県内外から多くの来場者があり、霧島市はもとより鹿児島県の地域文化や観光の振興に貢献している。また、海外公演を通じ国際交流にも寄与するなど、その多彩な活動は県内の文化芸術団体のモデルとなっている。
保存会では年3回、霧島神宮奉納を行うほか、2022年2月に霧島神宮の本殿・幣殿・拝殿が国宝に指定された際には、祝賀の集いで力強く奉納するなど、保存会は霧島神宮と深い関わりがある。郷土が誇る伝統芸能として、青少年への指導や後継者の育成にも尽力しており、これからも発展が期待される。
(1972年設立 会長 修行 兼一郎 霧島市)
団体 「一般社団法人 鹿児島コミュニティシネマ」
『映画の感動で人と人をつなぐ』コミュニティづくりの活動
鹿児島の映画環境を改善して、より映画を楽しもうと活動を続けている団体。
大型のシネマ・コンプレックスでは上映されない単館作品や過去の名作、ドキュメンタリー等の上映、企画、上映のリクエスト募集等を行い、鹿児島県の映画愛好家をはじめ一般市民に映画の感動を映画館で味わう魅力を広く伝えている。
また、「鹿児島コミュニティシネマ通信」の発行や、会員の交流会や学習会の開催を行い、会員同士のコミュニティ活動の場も提供している。
良質な作品を数多く上映する中で、近年は拉致問題を扱った「めぐみへの誓い」や、教科書検定問題を発端に現代社会のひずみを描いた「教育と愛国」など、社会に埋もれがちな問題をテーマにしたドキュメンタリー作品等の上映にも力を入れている。
新型コロナ禍で全国のミニシアターが存続危機にある中、「映画の感動で人と人をつなぐコミュニティ」を目指す取り組みは、鹿児島に多様な文化を発信する貴重な拠点となっており、今後ますますの発展が期待される。
(2011年設立 代表理事 黒岩 美智子 鹿児島市)